World Figure Skating Championships2019 ③

【3/21 ペアFS・男子SP】


この日もタラモロは最終グループだったため開場と同時に入場し練習を観ることに。

リンクサイドにあるカメラ用の可動式の椅子に座って遊ぶヴォーヴァと、それを見てヴォーヴァの肩を叩きながら楽しそうに笑うジェーニャちゃん。

練習は終始にこやかでリラックスしているように見受けられるが、調子はあまり上がっていないようだった。スローでは転倒もあり。


6練でもやはりあまり調子はよくなさそうな感じ。そんな中6練のラスト1分でスローを投げに行くというルーティンを知るという収穫を得る自分。

そしていざ本番。本当にくらくらしてきそうなくらい緊張していたが、まず3Sが決まった時点で感極まると同時にほっと一安心で。そこから3T-2T-2T、3SThと順調に決めいく姿にこれはもう大丈夫だと確信をすることが出来た。これまでのミスを全て払拭するような気合いの漲る演技をみせるふたりに視界がどんどん滲んでいく。スピードがあまり出ていないようにも見えたが、トータルとしてはISU主催の大会では間違いなく今季一の出来であったと俄ながらに思う。

曲が流れ終わったと同時に軽くガッツポーズをするヴォーヴァと、ヤッター!とふたつの拳を天高く突き上げたジェーニャちゃんが対照的で、そんな姿を見ることが出来ていることが嬉しく言い表すことの出来ない感情で胸がいっぱいに。演技後に苦しそうな表情をしていることが多かった今シーズン、やっとSP・FSともに笑顔で終わりふたりのお約束とも言えそうな仲睦まじい様子を目の当たりにして、ようやくジェーニャちゃんの心にのしかかったものが取り除かれる兆しが見えた気がした。リングサイドまで戻ると一目散にニーナに駆け寄るジェーニャちゃん。後に動画を見て知ったのだがどうやら泣いていたようで。それほどまでの気持ちを抱えていたことを改めて実感しまたも視界を滲ませることとなるのであった。

GOEが爆発的にはつかなかったことやPCSもさほど伸びなかったこともあり150点というひとつのボーダーを超えることはできなかったがこの時点で銀メダル以上確定。世間の下馬評を木っ端微塵に蹴散らしたふたりが誇らしくてたまらなく今にも泣き出してしまいそうな気持ちでいっぱいだった。

そして迎えた最終滑走スイハンは本当にすごかった。すごい以外に言葉が見つからない。4CCの後に怪我をしていただなんてまるで信じられないような完璧な演技だった。ふたりの技術、メンタル、照準を合わせてくる力。全てがいい方に傾き最高の演技を生み出していた。この伝説的なプログラムを生で観ることができたことは幸運としか言えないし、生涯忘れることはないだろうと思う。完全無欠、誰しもが納得するであろう完全優勝だった。


スイハンは最終滑走だったためそのまま優勝インタビューへ。その最中にタラモロがリンクサイドへ戻ってきた。悔しいのか嬉しいのかその気持ちを推し量ることはできないがジェーニャちゃんは涙ぐんでいるように見え、そのままヴォーヴァに抱きしめられていた。(頭を撫でるおまけ付き)後にプレカンで銀メダルでも嬉しいと言っていたがこの時の気持ちがどちらだったのかはやはりわからない。

セレモニーが始まる直前にはリンクのフェンスに寄りかかりヴォーヴァに頭を預けていたジェーニャちゃん。その後は3位に入ったザビエンと楽しそうに話したり合流したスイハンとハグを交わすなどしていた。

いざ始まると表彰台ではずっと幸せそうな表情をしていてまたもや涙が込み上げてくる。本当に本当によかった・・(何度目)

スイハンの栄誉を讃えつつ、いつかふたりがワールドという舞台でロシアの国歌を流すことを夢見るのだった。

周回では受け取ったロシア国旗が小さかったりとロシア選手4人で色々と楽しそうにしていたような。


続いて男子SP。やはり男子は3Aや4回転がほぼほぼ装備されていることもあり迫力が違う。羽生くんは4S抜けがあったがやはり上から見ているとどれをとっても本当に綺麗で見蕩れてしまった。昌磨さんのモダンなSPもとても好きなので生で観ることができて嬉しい。刑事くんは出ていってしまった4Sを結果的にフリーで取り返すことができてよかった。